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ファッションとリスクマネジメント(保険毎日新聞&RMCA共同企画)

2017年1月23日 保険毎日新聞 RMCA特別企画「ファッションとリスクマネジメント」 関根勤×高野いせこ×荒木洋二鼎談(企画、取材、執筆協力:石川慶子)

営業社員はホスピタリティのある服装を

★出席者

タレント 関根 勤氏

スタイリスト 高野 いせこ氏

RMCA理事長 荒木 洋二氏

日本リスクマネジャー&コンサルタント協会(RMCA)で理事を務める広報コンサルタントの石川慶子さんは、スタイリストの高野いせこ氏と10年以上にわたって一般企業のエグゼクティブ向けに服装演出を手掛けてきた。また、石川さんは2015年から外見リスクマネジメントを提唱し、RMCAでワークショップを実施している。一方、高野さんはタレントの関根勤さんのスタイリストとして30年以上活躍している。そこで今回は、「RMCA特別企画 ファッションとリスクマネジメント」と題し、関根さんと高野さんに、ファッションとリスクマネジメントについて意識していることや、芸能人とビジネスパーソンのファッションの違いなどについて語ってもらった。進行役は、RMCA理事長で昨年から自ら外見リスクマネジメントにチャレンジしている荒木洋二さん。

 

服装コンプレックスから「理想の上司像」で1位に

荒木:私は現在、石川慶子理事からのアドバイスを得ながら外見リスクマネジメントを実践中ですが、外見における自己管理の重要性やリスクマネジメントへのつながりを実感しています。まだまだ未熟者ですが、今回の話からヒントを得てさらに意識を高めたいと思いますので本日はどうぞよろしくお願いいたします。まずは、お二人の出会いについて教えてください。

関根:最初の出会いは僕が29歳のときでした。実は僕、ファッションにはコンプレックスがありまして…。中学2年生のとき、友達数人と後楽園のスケート場に行ったんですが、そのとき友達全員が私服で愕然としました。僕は学生服だったので、友達の私服姿がショックで、そこからコンプレックスを持つようになりました。その後、TBSの番組「ぎんざNOW!」で5週勝ち抜いて芸能界に入りましたが、着る衣裳は後輩からセーターを借りたり、アイビー(IVY:アメリカ東部の伝統あるアイビーリーグ校の学生たちが好んだ服装にモチーフを得たファッション)のジャケットなどを着ていました。ですので、いせこちゃんを紹介されたとき、「お好きなブランドはありますか?」と聞かれて、〝もうバカにされているな〟と思ったんですよ(笑)。コンプレックスはあるし、洋服のブランドも知らないし。いせこちゃんには〝この人ダメだな〟と思われたと感じたのが第一印象です。

高野: 関根さんがそんなふうに思われていたなんて、まったく気づきませんでした。当時私はまだ新人でとても緊張していましたから。とにかく失礼があってはいけない、これからスタイリストとして付くにあたって、関根さんの洋服の好みを知っておかなくてはと、お聞きしたんです。

荒木:関根さんは、2010年「上司にしたい理想の上司」(明治安田生命保険)ランキングで1位になっていますし、今でも常に上位ですよね。服装コンプレックスがあったとは驚きました。これまでの歩みを聞かせてください。

関根:僕はファッションに苦手意識があるので、全て任せています。いせこちゃんから「髪、パーマかけてみませんか?」って言われたときも、プロが言うことなら何でも聞くスタンスだったので、指定された美容室に行きました(笑)。ただ、最近の洋服はスリムになっていて着にくいので、私服だけはゆったりした動きやすいものを身に付けています。

高野:私のスタイリストとしてのこだわりは、〝着せられている感〟がない衣裳に見えることです。仕事の際、芸能人にスタイリストがつくことは今や誰もが知ることですが、それでも、視聴者に、関根さんの衣裳は自前?と思ってもらえたらプロとして成功かなと思っています。

 

服装はオンオフで切り替えることがリスクマネジメント

荒木:確かに多くの日本人男性は服に無頓着かもしれません。私自身もそうでしたから。仕事としての服装のあり方を考えることの必要性を外見リスクマネジメントから現在学んでいるところです。関根さんは、リスクマネジメントという言葉をよく使ているそうですが、日頃意識しているリスクマネジメントとはどのようなことですか。

関根:行動面では相当意識しています、服装で言えば、プライベートではゆったりした洋服を着る、これもリスクマネジメントです。外出中は何が起こるか分からないですから。例えば地震があって、上からガラスが落ちてきたら、全力で走って逃げなければならない。タイトな洋服は筋肉の動きを妨害してしまうので、あえてゆったりした洋服を着ています。ちなみに靴も、がれきなどの上でも歩けるように、登山靴やスポーツシューズを履いています。

荒木:なるほど、とてもリスク感性が高いですね。

関根:僕はリスクマネジメントの塊ですから(笑)。海外旅行に行ったときは空港で周りをきょろきょろして、警戒していることを行動で示します。妻からは「怪しいからやめてくれ」って言われますけど、〝これは家族のためにやっているんだ〟と思ってやります。

高野:ファッションに関しては、オンとオフの切り替えがとても大事になります。ですから、私が関根さんのプライベートまで強制することはありません。ただ、視聴者はテレビを見て判断するので、仕事のときだけは全面的にゆだねてもらい、タイトな洋服も我慢して着てもらっています(笑)。芸能人はオンエアされているときが勝負で、そのときに最も輝いている関根さんを演出するのが私の仕事ですから。

関根:そういえば、男性と女性は脳の仕組みが違うことが近年の研究で分かったそうです。例えば相談事があったとき、男性はすぐに答えを求めますが、女性は共感してもらいたいということです。他にも、以前に女子バレーボールの監督から聞いた話ですが、男子と同じような指導を女子にしたら選手全員がボイコットしたそうです。これも男性と女性の考え方、接し方などが違うということです。ビジネスの現場ではゆとり世代への対応が難しいと聞きますが、指導する側の責任は大きいので、こうした知識を持っておけばリスクマネジメントできると思います。

 

髪型を変えたら女性ファンが増えた

荒木:高野さんは一般の経営者や営業の人向けにもレクチャーやコーディネイトをしているそうですね。ビジネスパーソンとタレントの服装コーディネイトはだいぶ違いますか。

高野:ビジネスパーソンの場合には、信頼、品格、清潔感の3つを演出できる服装にします。日頃の商談やプレゼンテーション場面を想定し、相手から信頼を得て、一緒に仕事したいと思わせるような品格と清潔感のあるスタイルに仕上げます。一方、芸能界は特殊な世界。夢を与える立場なのでファッションはインパクトが大切です。華やかさや個性を生かすような場面では、ビジネスパーソンが着ないような派手なジャケットやスーツを着ることもあります。

関根:ビジネスパーソンは信用が第一ですから、一般的には赤いジャケットやクリーム色のスーツなどは着ないですよね。特に営業の人は清潔感も重要だと思います。赤いジャケット姿では信頼感が欠けますよね(笑)。

高野:それからもちろんスーツも大事ですが、ファッションはトータルなので、男性であれば髪型や眼鏡、女性であればヘアメイクなどにも気を遣うことが必要です。特に髪型が変わると全体の印象が変わるのでとても大事です。

関根:髪型を変えるのは結構抵抗がありますが、それは聞き方次第だと思いました。僕は50歳までパーマをかけていたんですが、ファッションには興味ないので、美容師さんから「髪型を変えたいですか?」と聞かれると〝変えたくない〟と答えてなかなか変えなかったんです。でも、高野さんから勧められて行ったヘアサロンでは聞き方がうまかった。「髪の毛切ってもいいですか?」と聞かれたので〝切ってもいいです〟と答えたので髪型を変えることができました。髪はまた生えてきますから(笑)。

高野:そういえば、関根さんの髪型を変えてから、女性ファンがつきましたよね。狙い通りです。若い女性の番組からも引き合いが多くなりました。女性の好感度を高めるためには髪型は重要なポイントになります。

 

保険の営業担当者は清潔感と公式感が大切

荒木:女性は髪型をよく見ているのですね。そういえば、私も高野さんお勧めのヘアサロンでカットしたら、妻と娘から「とてもいい」と褒められました。それまでは髪がまとまらないのでパーマにしていたのですが、カット次第でパーマに頼らずにもまとまるということがわかりました。もう少し、保険営業マンの話にしましょう。保険営業マンの印象についてお話をお聞かせください。

関根:きっちりしているが多いと思います。家を購入したときに火災保険に加入しましたが、そのときは男性で、説明がすごく分かりやすかったです。服装はたしか紺のスーツだったと思いますが、清潔感があって、知的な感じを受けました。

高野:私は以前女性の営業社員に対応していただいたことがありますが、その方は化粧が濃く、コートは毛皮でした。第一印象は「派手だなあ」。決して良い印象とは言えません。やはり営業の方は、相手を尊重していることを表現するためにも公式感のある外見が好印象を獲得することになります。ホスピタリティのある服装は相手にも伝わります。例えば、メイクは口紅の色を抑える、アイメイクをしすぎない、毛皮ではなくカシミアコートにするなど。さりげなく高品質のものを身につけると品格と清潔感を出すことができます。

荒木:公式感のある服装ってよくわかりませんので、もう少し教えてください。

高野:今、関根さんがおっしゃったように男性の場合には、紺のスーツが公式感があるものとされています。若い方は黒だと思っている人は多いのですが、黒は国際的には冠婚葬祭での着用となります。紺がオンビジネスにおける公式な色だと思ってください。また、白いチーフを入れるとそれだけで清潔感が出ます。特に夏場はネクタイをしないことも多いと思いますので、ネクタイの代わりにチーフをすると公式感が出ますよ。

荒木:それは知りませんでした。もっと国際的な服装マナーをもっと身につけないといけませんね。

荒木:読者の方々は営業マンが多いので、どのような保険の営業社員に対応してもらいたいかお聞かせください。

関根:生命保険にしても自動車保険にしても、プレゼンテーションが上手な方がいいですね。保険のメリットやデメリット、サブ情報などをしっかり説明してもらいたいです。昔、自動車の購入時に気になっていたキーレスエントリーについて担当の営業社員に聞いたことがあります。普通なら付属パーツは利益になるので勧めると思いますが、その営業社員の方は僕の生活スタイルを聞いた上で必要ないとアドバイスしてくれたので、その人のことは信用しましたね。

高野:先ほどの厚化粧で毛皮コートの方からは購入しませんでした。こちらからどう見えるか全く考慮していないホスピタリティゼロの外見でしたから。第一印象が悪いと話を聞く気にもなりません。まずは清潔感のある服装をしてほしいです。そして説明内容もホスピタリティをもってこちらにどうメリットがあるのか親身になって丁寧に説明してくださる方からは確実に購入しますね。

関根:今でも付き合いのある百貨店のゴルフ売り場の店員さんは、人柄が良く、親身になって対応してくれるので、そうした姿勢が多くの人から好評を得ていて、ゴルフ用品だけでなくお歳暮などの相談もあるそうです。よろず屋みたいな感じですね。保険とデパートは違いますが、保険の営業社員は、お客さまに「保険ならこの人」って思わせることが大事だと思います。

荒木:今後保険に期待することはありますか。

関根:最近は自然災害が多いので、台風や津波、竜巻、水害などの補償を充実してもらうと一般消費者は安心できます。

高野:そうですよね、私は保険に加入しやすい環境があったらいいなと思います。忙しい中で手続きが面倒だとやめてしまうこともあるので。手続きが簡単で、保険料もリーズナブルであればもっと検討しやすいですよね。

荒木:親身な説明とホスピタリティのある外見がキーワードになりそうですね。

 

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