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外見リスクマネジメント連載⑳謝罪時の服装(女性)

ビジネスパーソンのための新時代スタイルトレーニング「見た目を整える」第20回 謝罪時の女性の身だしなみ(保険毎日新聞 2018年5月10日)

広報コンサルタント/日本リスクマネジャー&コンサルタント協会理事 石川慶子

 

謝罪会見は日常茶飯事になっていますが、著名人だけではなく一般ビジネスマンも取引先に謝罪しなければならない事態が生じてしまうことはあります。読者の皆さん自身も謝罪の場面は何度か経験されていることと思います。謝罪の気持ちが伝えるにはどうしたらいいだろうかと思い悩んだことはありませんか。男性については本コラム第4回目に「平時・緊急時に自分を守るネクタイ」と題した執筆をしましたので、今回は女性における謝罪時の服装・身だしなみについて解説します。

 

気持ちは外見に出てしまう

女性においても謝罪時の服装に気を配る必要がある、と思ったきっかけは、2015年4月13日にフジテレビのグッディに出演した時です。2014年10月から2015年4月にかけて女性議員が謝罪に追い込まれる場面が複数発生したことを受け、何がわるかったのかを解説してほしいという依頼でした。

ざっと振り返っておくと、小渕優子議員は政治資金規正法違反疑惑で大臣を辞任、松島みどり議員はうちわ配布疑惑で大臣を辞任、中川郁子議員は不倫報道後に逃げ込んだ禁煙病室での喫煙を批判され謝罪答弁、片山さつき議員は一連の言動が不適切と指摘されて理事懇談会で謝罪、上西小百合議員は本会議を欠席して男性と旅行したことが不適切と批判され釈明会見。

批判されている内容はみな異なり、それぞれ解説するつもりで出演依頼を承諾したのですが、結局のところわかりやすい外見について解説してほしい、ということになってしまいました。「結局そこか」と思いつつ、比較をすると不思議とコメント内容と外見は一致していました。つまり、気持ちがそのまま外見にも表れていたのです。女性の場合は男性よりも工夫の余地がある分、外見に出やすいともいえるかもしれません。

 

謝罪時は華やかさを抑える

小渕優子さんは、疑惑が報道され4日後に経済産業大臣を辞任。「今の自分がしなければならないのは、自身の問題を調査すること」。決然と述べました。(2014年10月20日)この外見は、服は紺色のスーツ、白のシンプルなインナー、アクセサリーも目立たない質素なネックレス。メイクも控えめでした。反省の気持ちが服装にも出ており、コメントも外見も隙がありませんでした。

松島みどりさんが辞任会見(2014年10月20日)で着用していたのは真っ白のスーツ。しかも光沢感のある生地で華やかな雰囲気。彼女からすると不本意であること、潔白というメッセージを服装で行ったとも見えます。しかし、たとえ不本意で特別なメッセージが込めたいとしても光沢感だけは避けるべきでした。光沢感は祝う気持ちや喜びを表現することになるからです。辞任という深刻な状況と服装がかみ合っていません。何かズレた感覚の持ち主であることを露呈していたように思います。

片山さつきさんは、政府側の答弁要領を持ち込んで審議にあたったり(2014年10月21日)、御嶽山について事実誤認の情報発信など、1つ1つは大きくはないのですが小さな不適切行為が積み重なり、一連の行為について批判を受けました。その結果、理事懇談会で謝罪することに。この時の外見はいつもと同じロングヘア、白のニット風ジャケットに黒の縁取り。謝罪の時は顔が見えるように髪は束ねるなどして、すっきり見せた方が潔さが伝わります。

中川郁子さんは、同じ自民党議員と六本木の路上で接吻している写真を報じられ(2015年3月5日)両者ともに、酒席の席の後で軽率であったことを詫びるコメントを出しました。中川さんは入院中に禁煙病室で喫煙していたことを追及されてしまいました。質問に対し、謝罪した時の服装はグレーのジャケットに透け感のある白のインナー。白のインナーまではいいのですが、透け感がある服を選んでしまった点に脇の甘さが見えました。

上西小百合さんは、体調不良の理由で衆議院本会議を欠席しましたが、後に週刊誌に知人男性と旅行していたことを報じられ、釈明の記者会見を開きました(2015年4月3日)。いつもと同じロングヘア、濃いメイク、シャネル(風)の派手なスーツ、胸元が広く開いたインナー。表情も時折笑みを見せる態度が批判されました。釈明会見と不釣り合いな派手な外見には違和感を持ってしまいます。

では、どうしたらいいのでしょうか。謝罪時の服装は紺ジャケットに白のインナー、アクセサリーを外し、光るものを避け、顔が見せる髪型で潔さを示し、表情は引き締めます。「皆同じではつまらない」と思うかもしれませんが、謝罪時には目立たないことが大切なのです。キラキラアクセサリーは忘れがちですが、反省の意思を示すために外しましょう。

服装については図をご覧ください。A,Bは華やかな印象になるので避けます。Cは紺で一見よさそうですが、襟にデザイン性がありますのでオシャレに見えてしまうため避けた方がよいでしょう。Dは紺の襟付きになり、ファッションとしては地味ですがその地味さが謝罪時にはよいといえます。私は紺のジャケットは地味と考えていましたので購入した経験がありませんでしたが、外見リスクマネジメントを提唱する際に自分を守る服として購入しました。服装は自分をアピールするだけでなく、守る役割もあることを自覚したからです。

 

コメントは5つの要素を盛り込む

言葉は本コラムのテーマではないですが、外見だけではいけませんので言葉についても少しだけ触れておきます。謝罪時にはただ単に「すみません」を繰り返しても伝わりません。謝罪を伝えるために必要な要素は心理学では研究が進んでいます。①事実認識、②反省、③後悔、④悔悛、⑤償い、の5要素が必要だと言われており、私の場合は、この5つにプラスして外見です。5要素を詳しく説明しましょう。

事実認識とは、「何をしたのか」自分の言葉で説明して自覚していることを示すこと、反省とは、「自分のどこが悪かったのか」を述べること、後悔は、「申し訳ない」という言葉が代表的です。悔悛は、「二度と起こさない決意」、償いは「被害者への賠償、自分への罰」。このように謝罪は深い内省と冷静に状況を分析する言葉が必要です。そしてその気持ちを表現するため、外見も謝罪モードにすることではじめて正確にメッセージが伝わるといえるのです。

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