外見リスクマネジメント連載⑫ポーズの基本
ビジネスパーソンのための新時代スタイルトレーニング「見た目を整える」第12回 ポージングの基本(保険毎日新聞 2017年9月7日)
広報コンサルタント/日本リスクマネジャー&コンサルタント協会理事 石川慶子
歩く姿に気持ちが出てしまうって本当?
8月6日、モデルウォーキングインストラクター鷹松香奈子氏のレッスンスタジオでの身内の発表会がありました。私が参加するのは3回目。2年半前にちょっとだけ体験しようと思っていただけなのに長く続けている自分に驚いています。何が自分を虜にしているのか今年は鷹松氏との会話でじっくり考えてみることにしました。
石川「ただ歩くだけのことなのですが、モデルウォーキングは奥が深いですね。カラダ動きの美しさに魅了されている自分を発見しました。年齢は関係ありませんね。80歳の方の歩きにも見とれました。むしろ年を重ねているほど、歩きに『味』を感じています」
鷹松「私たちモデルは服をどう見せるか考えて歩きますが、皆さんの歩き方は個性そのものが前面に出ますからね」
石川「メディアトレーニングでも役立っています。目が肥えてきたので、動きや歩きに以前より敏感になり、発見が早くなりました。上から目線でコメントする人は、つま先が外側に向いていました。気持ちや性格がカラダの動きに出ているのです。歩きの中で正しく筋肉を使う習慣をつけると気持ちが変わってくる可能性もありますね」
鷹松「そうですね、上から目線の人は顎が上がり、つま先だけでなく膝や肘も外側に張っている人が多いです。逆説でいうと、そういうふうな人間に見せたければ、身体を使って演出することも出来るということです。不思議と身体の動きに合わせるように、気持ちもその気になっていくところから、心と身体が連動していることが分かります」
いい感じ、悪い感じ
鷹松「ポージングの基本は、重心のかけ方とつま先への意識です。後ろの足に重心を置くこと。前足のつま先をカメラに向けること。単純ですが、カラダに覚えさせないととっさにはできないでしょう」
石川「両足に同じ体重をかけないということですね。頭で理解はしましたが、どちらか一方に体重をかけると体は斜めになり、かえってだらしなく見えるかもしれないと感じてなかなかできませんでした」
鷹松「棒立ちだと見える面積が広くなります。体重をどちらかにかけるとおっしゃる通り斜めになりますが、細く見えます。すらっと見えた方がシャープさが演出できます」
石川「目の錯覚ということですね」
鷹松「前の足のつま先はカメラに向けると足が長く見えます。これも目の錯覚。足の長さは変わらないのに(笑)。私たちモデルはしっかり軸を作ることからトレーニングをして、このような目の錯覚を生かしたポージングを山のように体に叩き込みます」
石川「つま先をカメラに向ける効果はわかっているのですが、よく忘れます。体への叩き込みがまだですね」
鷹松「確かにそんなに簡単ではありません。石川さんはメディアトレーニングという仕事をしているためか、勘所がいいです。頭の中でイメージ作っているのですよね」
石川「はい、結構イメージ作りながらなりきる努力しています。今年の私のチャレンジは、鼻持ちならないキャリアウーマンでした。嫌な感じを出そうとしてみました。いやな感じを出すことで、いい感じとの違いを確認してみたかった」
鷹松「体、手、首、顎の動きで大きく表現します。身体全身を使うと効果的です。腕組みをすると戦いの姿勢は出ます」
石川「腕組みはオープンマインドの演出の際には私も絶対に使いませんよね」
鷹松「見下す態度には顎がいいでしょう。顎を下から思いっきり上にしゃくりあげると見下した態度を表現できます」
石川「その動き感動でした。わかっていてもなかなかできませんでしたが、カラダを使った表現力育成にはなりました。インプロトレーニングみたいですね」
鷹松「インプロトレーニングって何ですか」
石川「インプロは即興という意味のインプロヴィゼーションのことです。表現力育成、緊張や不安に負けないための訓練が、インプロトレーニングです。一般社員向け変化対応能力育成メソッドとして人材開発で使われています。メディアトレーニングに似ていますが、話が複雑になるので別の機会にまた説明しますね」
全体の雰囲気は伝わったでしょうか。動画は一部しかありませんがQRコードを読み取ってみてください。あごのしゃくりあげの成果はどうでしょうか。まだまだ修行は足りないとは思いますが。
今回のコラムは全文ほぼ会話文としました。これには理由があります。AI(人口知能)は会話文を読み取ることで自ら学習をしていくと知ったからです。会話が財産になる日を夢見て、これからはできるだけ会話文を投入していきます。