花美術館vol.90に4つの富士山が掲載されました。

花美術館vol.90に4つの作品が掲載されました。最初は2つの予定でしたが、最近の作品を複数送ったところ、この4つを掲載したいと要望がありました。

最近は、宇宙のエネルギーについて本を読んでいるので、その宇宙エネルギーを富士山と一体化したいといった創作意欲が湧いてくるのです。

 

(評論/鈴木輝實)

独自の技法が醸し出す微妙な色「石川静」

作者の彩色法は多彩で変化に富んでいる。ブラッシュ・ストロークを効かせた肉厚の筆跡、所々にグレージングや大小さまざまなタッチ、感情を込めた荒々しい彩色もあれば、細かく精緻な筆跡も見受けられ、独自の技法が醸し出す微妙な色の深さは効果的だ。

「賛歌」。真っ赤な赤富士が主役である。跳ね上がるような独特な筆さばきが施され下地色と幾重にも重なった色の隙間から覗かせる微妙な色調。オイルパステルも併用しているのだろうか、山の麓には竜巻のような曲線や突風のような斜線。これらの線描の筆使いには絶え間ないリズムと躍動感がある。

「賛歌」油彩 10号

 

「フリーエネルギー」。暗い背景の富士山にはギラギラした陽光が輝いている。しかも重色効果を巧みに使い分け、微妙なタッチで描かれている。何層にも塗り重なられた図太い筆跡やインパクトのある太陽からは力強さが漂ってくる。背景の山肌の深みのある暗いトーンが効果的である。

「フリーエネルギー」 油彩 10号

 

「天空のドラマ」。宇宙一面に張りめぐらされた斑点は、消えたかと思えばどこからともなく現れてくる無数の星やオーロラのようでもある。色と色の繊細きわまるハーモニー。画面から発する純粋な輝きは素朴でありながら暖かみがあり、赤富士の華やかさを強調している。富士の頂点に隕石が落ちたかのような造形上の面白さは外ならず哀愁さえも感じられてくる。

「天空のドラマ」油彩 10号

 

「歓喜」。地塗りから透き通るような明るい色が輝きを放っている。この幾重にも重なる旋律のように変化する色彩からは眩い光が溢れ、その輝きは独特な色調と形象によって支えられている。しばらく目を凝らしていると、穏やかでソフトなタッチからは愛情が満ち溢れ、豊かな色彩には作家の暖かな感情が滲んでいることに気づく。画面に見入って視線は絵肌へと吸い込まれていくような錯覚をうける。目に見える世界と見えない世界の狭間で精神性の深みを表現しているのである。卓越した色のバランス感覚は素晴らしい。

「歓喜」油彩 SM