2020年6月、「Art Gift」に「逢引き」掲載

2020年6月、「Art Gift」に「逢引き」掲載

【評論】文・ポール・フロート

画家は「人・自然・宇宙の響き」をテーマに制作しているという。その中では自然に着目して描いたのがこの作品であろう。色の濃い魚はカレイ、明るい色の魚はヒラメだろうか、二匹が寄り添う様子を「逢引き」という洒落た表現でタイトルにしている。画面は明るめの黄土色を主食とするバック地に、主役となる魚が二匹描かれているだけで、他の構成要素は一切省かれている。それだけに観者の視点は自ずから主役の二匹に釘付けとなり、色彩だけでなく、ヒレの表現などのディティールにも注意が向けられるように仕組まれている。「描く喜びを感じている」というコメントのように、対象から得たインスピレーションを、小細工せずに描こうとした結果生まれた作品であることを感じさせる。

 

【渚で逢引き】 油彩50×60.6㎝