花美術館VOL.65に「バイオーラ」掲載

花美術館VOL.63に「バイオーラ」掲載

<評論>小出龍太郎

本質的魅力を体感された上での結論的表現

石川静氏の「バイオーラ」(バイオーラとは女性の踊り手のこと。一般的にはバイオーラということが多い。男性の場合はバイオラール、bailaora bailaor)、この作品では、スペインのフラメンコダンサー、この女性の美貌と本質的な魅力が描き出されている。豊かな胸と体幹の健康美、その迫力、真紅のドレスとその張り詰め具合、バックの情熱の炎を連想させる赤と黒のバランスは、ダンスの熱気か人間の情熱か?といった混じり具合。生命力が充満する作品、素晴らしい!

ダンサーの靴音とギター、カスタネットの大音響の終結と同時の「拍手喝采」の瞬間、その空気感の表現・・・しかし綿密な観察と考察に基づく作品と感じる。これだけの作品を描き上げられたということは画家のフラメンコ体験の歴史は長いだろう。じっくり観察され、フラメンコの本質的魅力を体感された上での結論的表現の一つと思う。一朝一夕でこれは描けない。作品サイズは何とサムホール、小品でありながら評者は100号の大迫力を感じた。それだけ緻密、且つ迫りくるエナジーに溢れた表現だ。凄い作品に出合えた、脱帽!

 

【バイオーラ】油彩2014年 油彩