ジャパンタイムズで大谷翔平氏の会見について危機管理広報の観点から取材対応しました
ジャパンタイムズのべノーザ・キャスリーン記者から問い合わせを受けました。
https://www.japantimes.co.jp/sports/2024/03/26/baseball/mlb/shohei-ohtani-press-conference-gambling/
日本リスクマネジャー&コンサルタント協会への問い合わせです。
質問は下記です。
ドジャースの大谷翔平選手の専属通訳を務めていた水原一平氏の違法賭博をめぐる問題で、日本時間の26日朝、大谷選手が声明を出しました。ダメージコントロールとして、これが良かったかどうかについて、専門家からのご見解を教えていただけますと大変助かります。危機管理の視点から良かったかどうかなどについてお話伺いたいと思います。
私のメールでの返事は下記です。
本日の声明はダメージコントロールになっています。やってよかったと思います。
なぜなら、不正確な情報、推測、憶測、誤解がある場合には声明発表により誤解や信頼失墜を防ぐのが危機管理広報の最も重要な役割だからです。
もっと早く出せなかったかといったかといった指摘はできます。21日に本人が知ってから4日経過していますから。
情報集約や新しい通訳とのリレーション、関係者討議といったことからタイミングとしては本日をターゲットにしていたのかもしれません。
本来ならESPNの取材があった時点で出せていた方がよかったのです。
しかし、大谷は取材のことを知らなかったと言っていますから、球団広報側の連絡ミス、初動ミスともいえます。
球団が水原を即解雇したのは迅速決定でよかったのですが、水原の取材内容が出てしまったために憶測が拡大しました。
一番の問題は、ESPNの取材を水原が対応してしまったこと。しかも90分のロング。
球団が大谷につけた?危機管理広報担当者が役割を果たしていなかったとしかいえません。
危機時には個別取材対応はしないからです。これは鉄則です。交渉はありですが、1社リークは危険は鉄則。
経験の浅い危機管理広報パーソンだったのかもしれません。
この基本を実施しなかった点に球団側の危機管理広報体制の機能不全があったと思われます。
また、ESPNも大谷のコメントをとらず水原取材だけで報道した点に落ち度があると思います。
本人に当たるのは取材の基本ではないでしょうか。特に口座名が大谷であればなおさら。
水原が前言撤回した時点で嘘をつく人だと認識し、大谷に当たるべきでした。
それをしないまま水原の言動を報道したことがミスリードになって事態を重くしました。
報道関係者も教訓とすべきではないでしょうか。
多くのファンが不安とショックを味わった4日間でした。