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外見リスクマネジメントと組織内広報の関係性について~ウェブモニタ調査の結果から~(1)

外見リスクは3割から5割だった

2015年に私が提唱した外見リスクマネジメントについてようやく学会発表に耐えられる数字が出ました。ひとえに帝京大学の吉野ヒロ子さんのおかげです。2015年に初めて吉野さんに出会い、数字を出してもらえる日を願ってきましたが、ようやく2019年7月に実現しました。2019年10月に広報学会でも発表しましたが、一般の方にも伝わりやすくするため、吉野ヒロ子さんとの対談形式で解説します。

広報学会での研究予稿はこちら。2019年度研究大会予稿(吉野・石川)

広報学会発表PPT資料はこちら。2019年度広報学会研究大会(最終版)

 

吉野ヒロ子氏

(略歴:帝京大学文学部社会学科専任講師(広報論・広告論)・内外切抜通信社特別研究員・日本広報学会理事・博士(社会情報学)。博士論文「ネット炎上を生み出すメディア環境と炎上参加者の特徴の研究」、『つながりをリノベーションする時代』(弘文堂・共著)ほか)

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吉野:石川さん、調査結果出ました。20代から60代997名(男性504、女性493、2019年6月28日~7月5日)でのウェブアンケートでは、面白いデータが出ましたよ。ビジネスコミュニケーションにおいて外見が原因で忌避行為をしている人が3割もいたんです。

 

 

石川:3割か。少なくないですか?私の実感値ではもっと多いんだけど、5割あってもおかしくない。男女別とか、年齢別とかで何か5割の数字ないのでしょうか。

 

吉野:男女別は意外なことに差がないんですよ。これはこれで驚き。男性は「外見で判断してはいけない」と言いながら、外見での忌避行為は同じということは、男性は建前と本音が違うということでもあり面白いと思いました。年齢別だと若い人は忌避行為が多い傾向はあります。あ、これ個人年収別にとると、、、年収1200万以上だと5割を超えます。ここですよ、石川さんの実感。

 

 

石川:お、出ましたか。よかった、よかった。実証できましたね。年収による差でしたか。まあ、よく考えてみればわかります。大きな商談、金額の大きなビジネスを手掛ける場合には、外見も戦略的なコミュニケーションをする必要があるということでしょう。

吉野:個人年収別で身だしなみに気を使っているかどうかを見てみると、1200万円以上の人は「かなり気を使っている」人の比率が高いですね。自分が気をつけているからこそ、気をつけていない人に厳しいのかもしれません。

吉野:コメントもなかなか面白いです。私が着目したコメントです。

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<外見が原因で忌避経験ある方>

・(50歳男性)ある案件で取引前の資料のすり合わせで役所や司法書士事務所などを訪問する際、車で移動したのですが、その人の着ている「ジャンパー」があまりにも超カジュアルすぎて場違いな感じな、いで立ち。。。、しかも余り洗ってないような感じの臭いが車内に充満。。。スーツ姿の私たちはネクタイを緩めたと同時に車窓全開。。

・(47歳女性)同僚のフケがとにかくすごくて一緒にランチしなければならないのが苦痛だった。カーディガンの脇に穴があいてて注意できないまま早何年…

・(26歳女性)生まれつきの匂いではなく、お風呂入ってないとか洗髪してないとかだったので、して当たり前の事をしないのは人間性の問題だと思い、関わるのを辞めてしまった。言いにくい事なのでみずから気づいて欲しい。

<ビジネスに外見が影響すると回答した方>

・(56歳男性)いけないことではあるが、(外見の)印象というものでその先の話の進み具合が変わってしまう。

・(29歳男性)よく内面が重要と言われるが、ファーストコンタクトの印象が後々重要なことが多い

・(51歳女性)影響すると思う。それに気を遣う姿勢が、仕事内容や相手に対する思いやりなどに通じると思うから。

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石川:「思いやり」という言葉が出てきたのは嬉しいですね。広報的な言葉で言えば、ステークホルダー視点ということ。相手目線で考えるということです。一般の方々からこのようなコメントがあり、ほっとしました。忌避行為と外見の関連では、センスよりも「清潔感」がポイントになるということは私の研究会でさんざん出ていた話です。外見を整えるということは、高価なものを身につけるということではなく、清潔感、信頼感を整えるというのが私の提唱です。

 

吉野:石川さんが着目したことは何かありますか。

 

石川:ビジネスへの外見影響力評価の数字が出てよかった。「就活や転職の面接で、採用担当者の身だしなみや振る舞いがよいとその企業に入りたいという気持ちが高まる」「プレゼンの成否には担当者の身だしなみや振る舞い方も影響する」「企業のトップが魅力的だとその企業も良い企業であるように感じられる」「姿勢がよいと自信に溢れている印象を相手に与えることができる」「清潔感のある髪型やメイク、服装はビジネスを円滑に進める効果がある」がいずれも女性が多いのは予想通りです。女性が70%以上、男性が60%以上と具体的に数字が出たのは嬉しい限り。姿勢のよさを女性の8割が注目するという数字は実務でも役立ちます。姿勢トレーニングの時間を増やす提案ができます。

 

石川:これらの数字について全体的に私は納得しています。メディアトレーニングの現場では、外見のアドバイスをすると例外なく感謝されます。具体的には、ネクタイの選び方、立ち方のコツや歩き方を教えるのですが、受けた方は「重要だとわかっていたんだが、どうしたらいいかわからなかった。新鮮だった」と言われます。つまり、関心あるし必要性も理解していたがやり方がわからなかった、あるとわかればやりたい、というのが本音です。

 

吉野:それはよくわかります。なにが流行っているかはネットで調べたり雑誌を読んだりすればある程度把握できますけれど、自分に似合う服や髪、メイクの仕方って人それぞれすぎて、調べ方がそもそもわからないんですよね。服にしても化粧品にしても、的確にアドバイスをしてくれる店員さんはなかなかいらっしゃらないし。意外な数字ってありませんでしたか。

 

石川:あれっと思ったデータはあります。「あなたの職場や取引先で身だしなみや着こなし、立居振舞がよいと思う人はいますか」という質問に対して、優れている、損をしている、男女共に1位が「服装や身だしなみ」2位が「姿勢や体型」。1,2位の順番が揃っているのが見事すぎます。それだけ服装や身だしなみ、姿勢や体型が優劣、損得に影響しているのか、と。私が2017年~2018年にかけて広報・リスクマネジメント関係者で行ったアンケートでは、第一印象を決めるのは「表情」が男女共に1位でした。服装や身だしなみ、姿勢や体型はその次になります。その意味では、この違いは何なのでしょうか。

 

吉野:それは聞き方による違いですね。第一印象をどこで決めますかという質問にしたら「表情」が1位になった可能性はあります。この設問は「取引先や職場で」と訊いていますから、何度も会っている人という意味で受け止めていると思います。

 

石川:それと「におい」について吉野さんが赤でくくっているのが気になります。

 

吉野:「におい」って意外と重要なんだと思ったので。忌避行為との関連からも明らかで気になりました。

 

石川:においは好みがあるし、耐えられないという意味でしょう。視覚的に嫌なら見なければいいですが、においはついてきますから。目には見えませんが、身にまとうものという意味では、外見定義に入れてもいいかなと思っているほどです。いくら外見を整えてもにおいが台無しにしてしまうケースもありますから。においは自分では気づきにくいので、周囲の協力が必要だろうと思います。これはこれで別途研究が必要ですね。

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