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外見リスクマネジメント連載㉔においが印象の決め手に

ビジネスパーソンのための新時代スタイルトレーニング「見た目を整える」第24回 ニオイマネジメント時代の到来(保険毎日新聞 2018年9月6日)

広報コンサルタント/日本リスクマネジャー&コンサルタント協会理事 石川慶子

本連載の当初、外見は5つの要素(表情、服装、ヘアメイク、姿勢、歩き方)と定義しました。外見リスクマネジメントを提唱して3年経ちますが、このテーマの取材や話題になると必ず出てくるのが「ニオイ」でした。ニオイの重要性は認識しつつ、ニオイは見えないので「外見」要素からは外していましたが、身にまとうものとして考えると外見の中に入れてもよいのではないかと考えるに至りました。良好な関係構築のためにもニオイは外せない要素とも考え、最終回となる今回はニオイマネジメントを取り上げることにしました。ハーブとアロマの専門家として20年以上の経験を持つ株式会社イコア代表取締役社長の青木恵さんに解説をお願いしました。青木さんは、今年から企業に対して健康経営の一環としてニオイマネジメントを提案する活動を始めています。

 

嗅覚は大脳直結、記憶に残る

石川:外見の話をすると、頻繁にニオイの話がでてきます。どんなに外見がよくても、ニオイがひどいと人間関係にも影響を与えます。ある社労士は職場でスメルハラスメントの対応をしたと言っていました。

青木さん:他人の不快なニオイは十分ハラスメントになりうると思います。特に女性はニオイに敏感ですね。生まれつき男性よりも嗅覚をつかさどる神経細胞であるニューロンが多いと考えられているので。2017年、当社とアルパイン(株)、慶応義塾大学理工学部、(株)電通サイエンスジャムとの精油を使った共同実験では、ペパーミントやある種の精油は集中力を上げる、ストレス度を下げる、眠気を下げるという結果が出ています。反対に考えると、集中力を下げる、ストレス度を上げる、眠気を起こす精油もあります。目的によって使い分けるといいですね。

石川:すでに科学的に実証されているということですね。脳との関係もあるのでしょうか。

青木さん:よい香りを嗅いだ瞬間、深呼吸したくなる、そんな経験はありませんか?嗅覚が視覚や聴覚等他の感覚と違うのは、本能である大脳辺縁系にダイレクトに作用すること。具体的には、香りを嗅ぐと香りの成分が鼻の中に入り、次に電気信号に置き換えられて脳に伝えられます。このとき最初に伝達される脳の部分が「大脳辺縁系」です。ここは、快・不快などの情動に関わる古い脳です。一方、視覚や聴覚の電気信号は、知性に関わる新しい脳「大脳新皮質」に最初に伝えられます。この違いが、嗅覚の大きな特徴です。リラックスするには、食べるよりも、見るよりも、香りが一番といったところでしょうか。

石川:ニオイと脳は近いということですね。先ほどの社労士が対応した事例はワキガでしたが、外国人が増えると確実に多くなると思います。女性の香水に頭を抱えている男性も最近3人いました。これからニオイマネジメントは注目される分野になると思います。

 

ニオイは消すことができる

石川:せっかくの外見を台無しにしないためにもニオイについて正しい知識を身につけることはマナーとしても必要です。コミュニケーション上知っておきたい基本的なことを教えていただけますか

青木さん:原因がわかれば消すことができます。朝食を食べずに、胃の中が空っぽだと口臭がします。肉や油ばかりの食生活も体臭の原因となります。ニンニクたっぷりのラーメンや焼き肉は、対人コミュニケーションの阻害の大きな原因です。疲労が原因となる臭いもあります。特に30~40代の働く男性は「ミドル脂臭」と「疲労臭」に注意。ミドル脂臭の原因物質は「ジアセチル」。2013年に化粧品メーカーが発表し、知られるようになりました。もう一方の疲労臭は疲れやストレスがたまったときにアンモニア臭を放ちます。尿の臭いです。アンモニア臭の原因は、「腸内環境が悪い(動物性脂肪の摂り過ぎ等)」「筋肉が疲労している(営業の外回り等)」「肝機能が落ちている(お酒の飲み過ぎ等)」。仕事上での疲れ→朝起きられない→朝食を取らない→ニンニクたっぷりで元気つけよう。あるいは、時間がないから簡単に栄養がとれるコンビニ弁当、インスタントな食品を手に取り、ニオイを発するようになります。

 

石川:行動を変えることでだいぶ改善ができそうですね。

青木さん:ニオイマネジメントには、実は強力なソリューションがあります。ハーブティです。自律神経の乱れや免疫力の低下から身を守ってくれるのはアロマの仲間。これは気軽に習慣化できます。ドイツやスイスでは、薬を飲む前にハーブティという習慣が国民に根付き、ちょっとしたことであればハーブティで治してしまうようです。ハーブに含まれる成分を知ることが大切です。フラボノイドといったポリフェノールには、強力な抗酸化作用がありますので、ニオイの成分を中和して、打ち消し、雑菌の繁殖も抑える。カリウムには、むくみ解消、血圧を下げる、血液をサラサラにするなどです。ペパーミントはアレルギー性鼻炎の症状緩和(米国国立衛生研究所発表)。

石川:ハーブにはとても大きな可能性を感じます。私も体調が悪い時はコーヒーではなく、ハーブティを飲んでいます。夜もコーヒーを止めてハーブティに変えてからは睡眠の質が高くなったと感じます。体調が悪いと見た目にも影響を与えますから、ニオイマネジメントは積極的に取り入れるとよいですね。

 

本コラムを終えるにあたって

2年間に渡り「見た目を整える」コラムを綴ってきました。私が提唱している外見リスクマネジメントは見られたい自分のイメージと相手に与えているイメージのギャップをリスクと捉えてそのギャップを埋めるセルフマネジメントですが、自ら実践することで多くのメリットを享受しました。最も大きい財産は健康的な外見を手に入れたことです。これにより声をかけられることが増え、ビジネスチャンスも拡大しました。コラムを振り返りながら、改めて実感しています。執筆にあたっては、各分野の専門家や企業の方々にもご協力いただき、具体的な事例を用いながら内容を深めることができました。この場を借りて感謝いたします。

 

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