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【広報コンサルタントの視点】

保険会社系メルマガや個人メルマガで配信したコラム一覧です。
広報コンサルタント 石川慶子

4月9日、テレビを見ていたら、見知らぬ顔のアスリートの記者会見ニュースが始まりました。バドミントン選手が違法賭博をしたことの謝罪会見でした。
 
会場に入っている時の礼儀、服装、受け答え、途中で選手を退席させ、担当者が残る段取りを見る限り、準備万全でプロが入っていると感じさせる完璧なものに見えました。が、何だか違和感をもってしまいました。
 
田児選手は頻繁に通い1千万円負けて他の選手からも借りていた。
桃田選手は6回行って50万円負けたものの、昨年1月には辞めていた。
他の選手もやっていたが、処分は決まっていない状態での会見。
 
内容を知れば知るほど、誰もが知る国民的選手ではない彼らは記者会見をして説明する責任があったのだろうか、と考え込みました。
 
記者会見をやるやらないの判断はとても難しい。その時に基準にするのは「何を守るのか」通常は企業の評判を守るため、批判されないために会見はします。
 
この場合は、「選手の将来を守るため」、処分が決まった時点での公表とし、記者会見をしない、本人達も出さない選択をしてほしかった。
たとえ、遅い、手ぬるい、顔出せと批判されても。
特に21歳という桃田選手の年齢を考えると余計にそう感じます。
 
火だるまになる覚悟で記者会見をする宮崎元議員のようなケースもありますが、時には、火だるまになる覚悟で記者会見をしない選択も必要だろうと思います。

今年になり、ベッキー、宮崎議員、乙守氏の不倫関連報道が相次ぎ、私にも謝罪分析の依頼が殺到しました。「不倫すると報道されるのかな」と戦々恐々としている人は多いのではないでしょうか。
基本的には著名人、公人以外は報道されませんが、怖いのはネットです。2011年はネット炎上元年と言われるほど、さまざまなうかつな書き込みがありました。その中に、青山学院の女子大生が、既婚のホテル副支配人との不倫を実名と写真付きで自分のブログに書き込み、炎上した事件がありました。批判は実名を書き込んだ女性に向けられましたが、男性も無傷ではいられません。家族だけでなくホテルのブランドイメージも傷つきました。不倫は決して良いとは言えませんが、家庭にはさまざまな事情があるものですし、恋は盲目、ついうっかりということもあり、ある意味人間らしいとも言えます。
私は不倫分析の専門家ではありませんので、深くコメントはしませんが、世論動向の専門家としては、誰もが不倫炎上リスクにさらされる時代になったとはいえるでしょう。くれぐれも慎重に行動しましょう。

2月17日、奈良女子大が、授業中に不適切な発言をした男性准教授についてハラスメント行為をしたということで懲戒解雇処分にしました。どのような言葉を使ったのか詳細は発表されていませんが、女性への差別的発言かわいせつな発言であったのでしょう。制裁的処分となりましたが、ここで女子大が甘い対応をしたら、おそらく女子大の品位やブランドが傷つくとの判断だったと思われます。発言は行為よりもある意味、深く相手を傷つけることがあります。最近、私の女性友達が飲み会の席で年配の男性からセクハラを受けましたが、身体を触るという行為よりもわいせつな発言にひどく傷つき、精神科に通うほどのダメージを受けました。ことほどさように言葉には気を付けなければならないということです。しかし、多くの場合、発言者は無自覚です。職場でお互いに普段から注意し合う雰囲気を作ることが大切ではないでしょうか。
http://www.sankei.com/west/news/160217/wst1602170089-n1.html

2月7日日曜日の夜10時過ぎ、そろそろ愛犬の散歩して寝ようと思っていたら、TBSあさチャンから電話があり、ベッキー記者会見分析頼まれました。芸能人の不倫には興味ないのですが、メディアの印象を聞きたかったのでお付き合いすることに。
 
彼らのもやもやのポイントを整理すると
・事務所開催で立ちっぱなし、ぶら下がりの延長で公式感のある記者会見じゃなかった
・質問させてもらえなかった
・最初の生番組で何も発言がなかった
・ラインが流れた後に何も釈明がない
・休業の理由が自己中心的なコメントだ
 
私の分析コメントは
・急な開催の場合ホテルは取れないからやっただけでもいい
・タイミングは新潮の一般発売前だったので逃さずやったのはOK
・一番の問題は向き合う姿勢が出来ていなかったこと
・例えば、服装がNG。謝罪ならジャケット着用すべき
・記者の前に出た後も最初はずっと司会者を見ていて記者席をみてないのは
向き合う姿勢ができてない証拠。
・最初の番組でコメントしないのは可。番組は今回の不倫とは関係ないから
・ラインが流れて何も言わないとなると事実であることを認定したことになるが、果たして。
・休業は逃げてるように見えるが、本人は言葉が選べる状態じゃない可能性がある。
印象管理の失敗であり、これは事務所が表現を選択すべきでした。

2016年1月15日午前2時頃、多くの大学生を乗せた大型観光バスが転落し、15名も死亡するという大惨事が起きてしまいました。原因調査はこれからですが、報道からだけでも様々な予測ができます。事故を起こしたバス会社イーエスピーは、設立した2008年当初は警備会社でバス事業参入は2014年で日が浅かったこと、国が定める基準以下でバスツアーを引き受けており、しかもその基準を認識していなかったこと、運転手の健康診断を適正に行っておらず、事故の二日前にも行政処分を受けていたこと。これらのことから言えることは、イーエスピーは十分な知識を持たずに安易にバス事業に参入したのではないか、運転手の健康管理をすることが乗客の命を守ることになるのだという社会的責任への認識も乏しかったとも見えます。日々の仕事の中で、「これくらいなら大丈夫」ではなく、「私の日常的な仕事の1つ1つが大切なもので、社会の期待に応えるものだ」といった発想で取り組みたいものです。

12月14日午後4時、竹山修身堺市長は記者会見し、会計室課長補佐(59歳)が市の有権者68万人分の個人情報を持ち出し、外部のレンタルサーバで保管していたことを明らかにして謝罪しました。本人に対しては懲戒免職の上、刑事告訴。上司10名は戒告、市長と副市長は給与の3割返上(1カ月分)。第一報は9月に出ており、今回は処分、責任の取り方の発表でした。59歳ですから若気の至りというわけではありません。課長補佐は売ろうと思っていたようですが、お金が欲しかったということでしょう。定年後の生活が不安だったのかもしれません。しかし、懲戒免職となれば退職金が受け取れません。不安から起こした行動が大きな痛みを伴って自分に返ってきたことになります。職場での日々のコミュニケーションはどうだったのでしょうか。報道からは想像するしかありませんが、職場でお互いがどのような価値観を持っているのか、知っておくことで未然に防げることもあります。困り事や不安が共有できていれば事前にできたことがあると思います。みなさんの職場は困り事や不安を相談しあえる雰囲気はありますか?

11月17日、広島高裁は「妊娠で降格は男女雇用機会均等法に違反」の判決を示しました。病院勤務の女性が提訴し、1審、2審では女性の主張が退かれたものの、最高裁が「妊娠での降格は原則禁止」の初判断を示し、今回差し戻し控訴審判決となった経緯をみると、揺れ動いた末の判決だったことがわかります。今後は雇用主が負担軽減のためという善意の気持ちであっても本人が希望していない場合には違法になるということです。あるいは、降格をその時には承諾していても後から「あれは追い込まれて仕方なく承知したのだ」と訴えられる可能性もあります。私自身は2回出産を経験していますが、いずれも責任ある立場でしたので降格もなにもなく、出産日直前まで部下やクライアント対応をメールや電話でしていました。よく話し合いをして双方が納得する働き方を考えたいものです。

10月中旬三井不動産レジデンシャルが販売した横浜市のマンションが傾いた問題で、建設工事を請け負った旭化成建材が、現場が施工データを転用したことを公表しました。20日発表資料の中では想定される理由として、データ紙の紛失や取得失敗、スイッチ入れ忘れや引き継ぎ不十分など複数の可能性を述べています。原因の調査はこれからですが、あえて想像してみます。「データの取り直しをしたら間に合わない」「他のくいは達しているからここも大丈夫だろう」「いつものようにとりあえずデータが揃っていればいいよ」。そんな会話が思い浮かびます。意図的というよりは軽い気持ち、ここで現場が手を抜くと何が起こるのか先のリスクを想像する力の不足ではないでしょうか。

「あの名門企業がまさか」と思った人は多いのではないでしょうか。独自動車メーカー名門のフォルクスワーゲン(VW)が、排ガス規制逃れのためにディーゼルエンジン車に違法ソフトウェアを使っていたことが明らかになりました。米ウェストバージニア大の実験結果が糸口になったようです。排ガス試験時には規制をクリアし、実際には窒素酸化物が基準の40倍になっていました。一方、ドイツの自動車専門誌は、米環境団体が実験したところBMWも11倍であったと報道しています。これが事実なら、案外違法ソフトは横行していた可能性があります。「このくらいのことは前からやっているから大丈夫」といった甘い考えは通用しない時代です。自分達の職場を今一度見直して身を引き締める必要性があるでしょう。

7月24日に発表された東京五輪エンブレムがデザイン盗用疑惑の渦中にあります。8月13日には、ベルギー人デザイナーが、国際オリンピック委員会(IOC)に使用差し止めの提訴にまで至りました。その後、サントリーのトートバッグ、東山動物園、太田市美術館と佐野研二郎氏作品について酷似デザインあぶり出しと批判は広がる一方です。たとえ、商標登録、著作権など法的問題がなかったとしても結論が出るまでエンブレムを使う企業側には批判のリスクが伴うでしょう。デザインは皆に愛されて慕われてこそ、より一層その価値を高めていくものです。かといって疑惑だけで果たして使用をやめるべきなのでしょうか。難しい選択です。自分達が採用するデザインが疑惑の的になった場合、どう対応すべきか。今回の問題を他山の石とせず、社内でも積極的に意見交換しておくことがリスクマネジメント強化につながります。

クライシス・コミュニケーションの歴史において、クレーム対応の失敗として「東芝クレーマー事件」は時代を象徴する事件として記憶されていますが、今回の不祥事はその比ではありません。
 
7月21日に、第三者委員会による調査報告書が発表されました。
・経営上層部が意図的な利益かさ上げを容認していたこと
・達成不可能な目標設定で不適切なプレッシャーを現場にかけたこと
・内部統制が形骸化していたこと
などが上げられました。
東芝は早くから委員会設置会社になり、社外取締役も存在し、内部通報制度もありましたが、形だけで運用に課題があったということです。
 
今回は不正会計ですので一見広報は無縁のように見えますが、広報が組織において果たす役割の中には「企業文化の構築と改革」があります。(「広報パブリックリレーションズ入門」)
 
私が報告書の中で着目したのは、「上司の意向に逆らうことができない企業風土」です。
表現力に優れた能力を持つ広報部門が、リスクを気軽に語る雰囲気を作ることが出来なかったのだろうか、と考え込みました。

トヨタ自動車初の女性執行役員ジュリー・ハンプ氏が麻薬取締法違反で6月18日に逮捕されました。4月に就任が華々しく報じられた後だけに、衝撃は大きかったと言えます。しかも担当はCCO(チーフコミュニケーションオフィサー)で広報担当。トヨタのイメージを支える重要なポジションでした。同じ広報実務家としても残念で仕方がありません。真相はまだ全くわかりませんが、こうゆう時こそ、想像力を膨らませてリスク感性を高める必要があります。米国では、手軽に手に入り、比較的身近な薬物でもあるとのこと。その手軽さが彼女の軽はずみな行動につながったのかもしれません。麻薬に対する米国と日本の法的違いだけでなく、意識や感覚の違いがあるように感じます。グローバルリスクを改めて考えさせられた事件だと思います。

東芝が不正会計問題で出口の見えない不安定な状態に置かれています。ネットの裏ニュースによると内部通報による発覚であったようです。この問題についての彼らの公式発表は4月3日。取締役会長を委員長とする内部関係者で構成された特別調査委員会を設置するお知らせをしたものの、一転して1か月後の5月8日社外メンバーによる第三者委員会設置が公表されました。内部通報、社員による調査委員会から第三者委員会へ、という流れをみただけで、組織の中にあるある種の空気があると予測できます。山本七平氏は、「現代の日本では‘空気’はある種の“絶対権威”のように驚くべき力をふるっている。あらゆる論理や中小を超えて人々を拘束する怪物である」と表現しました。コンプライアンスの徹底が叫ばれていますが、言えない空気こそが私たちが真に戦う相手なのかもしれません。

この半年で多くの女性リーダーの謝罪が数多く報道されました。議員だけでも相当数です。小渕優子、松島みどり、上西小百合、中川郁子、片山さつきの5名。企業ではマクドナルドのカサノバ社長。ここに着目したのはフジテレビの情報番組「直撃LIVEグッディ」。番組ディレクターから解説を依頼され、13日にスタジオ出演してコメントしました。
危機管理とは、起きてしまった後のダメージを最小限にするマネジメントです。ここで失敗するとダメージは広がります。典型的な失敗が謝罪の失敗です。一般国民は事実関係がよくわかりませんから、判断基準は、反省しているように見えるかどうか、です。言葉だけでは伝わりませんから全身で表現する必要があります。髪はすっきりさせる、メイクは控えめ、アクセサリーは外す、スーツは紺、インナーは白。出来ていたのは小渕さんだけ。自分としては控えめにしたつもりでも、国民から見ると謝罪なのに派手すぎる、反省していない、と見えます。
危機管理広報の専門家が組織に不在なので的確なアドバイスができる体制がないことが一番の問題です。これでは女性リーダーが足をすくわれてしまいます。女性リーダーを支える組織的なバックアップ体制が必要です。

最近、三菱電機社員数名による4億円以上の架空取引が発覚したとの報道がありました。これについて全国紙記者から紙面掲載用に専門家としてのコメントを求められました。「会社側は取材対応してくれたが、会見をする基準に当たらないと言っている。悪質な隠ぺいではないか。記者からの問い合わせの前に公表すべきではないか」というのが記者の主張。「この場合の被害者は会社、株主。従ってポイントは、この4億以上の損失を回収できるのか、社員に返済させるのか、関わった社員の処分、あるいは刑事告発までするのかどうか。方針が決まったら公表となる。決まる前に記者会見するのは、対応に限界があるほど殺到するとか、会見しなければダメージが広がると判断した場合。取材対応しているなら悪質とまではいえない」と私。記者は納得し、私のコメントは不採用となりました。いつでも何でも会見すべき、といった思い込みは持たない方がよい。被害者は誰か、何のために公表するのか方針を明確にすることが大切です。

モラハラという言葉を聞いたことがありますか。私も最近知りました。モラル・ハラスメントの略で、モラルによる精神的な暴力・嫌がらせのことです。加害者が道徳的に振る舞いながら、相手を精神的に追い詰め、言い返せない状況に陥らせます。単なる嫌がらせとの違いは「隠ぺい」されること。被害者以外には「感じのいい人」として振る舞うため、周囲は気づきにくく、周囲は被害者が悪いのだと思い込みます。加害者の特徴は、罪悪感がなく、責任を他人に押しつけ、強い者には弱く弱い者には強い。モラハラが充満すると職場の雰囲気が悪くなります。
・職場事例:先輩に質問をしたら「言わなくてもわかるでしょう」→聞いた自分が悪いのだと感じてしまう。次から質問しなくなり、ミスが増える。
・家庭事例:こども「今日体操で褒められた」モラルハラスメントの親「いつも下手だからね」→喜びの気持ちがズタズタになる。士気が低下する。
自分が使っている言葉を振り返るきっかけにしてみましょう。

2015年1月7日、日本マクドナルドはチキンマックナゲットなどから異物がみつかったことを受け、釈明の記者会見を開きました。この時の対応が非難されています。主な理由は2つです。カサノバ社長が出てこなかったこと、記者会見での態度が真摯ではないとのことからです。7日の記者会見時にリリースが出ておらず、1月14日になってようやく調査結果と7日の会見での対応についてお詫びが出ています。社内の公表基準には当たらないとの判断からこのような対応になったと説明しています。この世論の厳しさの背後には、同社が昨年7月中国の工場で期限切れ鶏肉を使ったことがセンセーショナルに報道されたことが、「またか」の印象を与えたといえます。マニュアル通りの公表基準では現実問題を乗り越えることができないのです。自分たちが置かれている立場、状況判断を厳しい目でする必要があるでしょう。

タカタ製エアバッグの欠陥問題が大きく報道されましたが、あれっ、と思った人は多いのではないでしょうか。これまでリコールは自動車メーカーが行うものでしたし、消費者からすれば部品がどこ製かといった意識を持つことはありませんでした。
日本自動車部品工業会の会長も、タカタが批判されていることについて「部品メーカーは完成車メーカーに責任を負ってきたが、消費者に対しても負うようになってきた証」と述べ、業界の慣習が変わりつつあるとした認識を発表しました。(12月12日)それゆえ、タカタのトップが記者会見などを開き、自分の言葉で事態の説明をしなければいけないという認識を持てず、対応が遅れているという評価になってしまったのでしょう。米国と日本のリコール制度の違いはあるものの、ここからの教訓は、説明を求められた場面では、逃げずに説明する姿勢を見せる必要があります。謝罪できる人や組織は、潔い印象を与えるため、ダメージも最小限に抑えることができるのです。

米国では郵政公社が、中国からの攻撃で職員80万人の個人情報が流出しました。(11月12日報道)日本でも11月6日、国や企業の安全対策義務をうたった「サイバーセキュリティ基本法」が成立しました。政府機関への不正アクセスは、2013年度の5倍にあたる508万件と急増したことが背景にあります。サイバー攻撃は政府機関だけでなく、地方都市にも脅威が及んでいます。
人口1万5千人の福島県猪苗代町のウェブサイトは、1年前何者かに改ざんされて閉鎖を余儀なくされました。とはいえ、サイバー攻撃は見えないため実感が湧きにくいでしょう。
そこでお勧めなのが、米国人気作家トム・クランシーの「米中開戦」。中国からのサイバー攻撃でアメリカがパニックになるという話で、まさに今の状況を予言したような作品。

過去に犯罪行為に関わったとする記述が、ネットの検索結果に表示されるのは人格権の侵害だとして、男性がグーグルに検索結果を削除するよう求める仮処分申請について東京地裁は、10月9日検索結果の一部122件(237件のうち)を削除するよう命じました。
自分の名前をネットで検索すると、何かの犯罪に関わっていたかのような記述があったとします。あなたならどうしますか?
同姓同名の人はたくさんいるので気にしない?あるいは不快に思うでしょうか。
欧州連合(EU)司法裁判所ではすでに、今年5月13日に検索結果表示がプライバシーの侵害にあたるとされる判決が出されています。これを受け、グーグルは欧州で個人情報の削除受付を開始しました。「知る権利」「表現の自由」を重視する米国では慎重な見方があるといいますが、そもそも一個人のプライバシーを知る権利はあるのでしょうか。「忘れられる権利」は新たな権利意識の象徴として時代のキーワードになるでしょう。

女子サッカー、なでしこリーグ千葉は、9月12日、女性選手へのセクハラ行為があったとして、総監督を解雇したことを発表しました。飲酒した際に複数回同じ選手を呼び出してセクハラ行為を行ったとのこと。セクハラ行為の詳しい内容は公表されていません。
以前は、こういったセクハラ問題は、被害者のプライバシーを考慮し、処分はしても公式発表されることはあまりありませんでした。しかし、時代は変わったのです。
このような公式発表の効力は、「私達組織はセクハラを許さない」といったメッセージとなります。
セクハラ行為を詳しく発表しなかったことも評価できます。女性選手を守る、といった姿勢が明確です。
何を守り、何を伝えるのか、明確な目的がある公式発表はすがすがしさがあります。
セクハラ発言で品位を低下させてしまった都議会も見習うべきでしょう。
http://www.asahi.com/articles/ASG9D55SDG9DUTQP018.html

 「神奈川県寒川町、職場での嫌がらせを訴えた介護相談員の名前や申告内容が記された書類を、嫌がらせをした相手側に渡した福祉部長らを戒告処分」
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG1104I_S4A810C1CC0000/
2014/08/12  日本経済新聞 夕刊  13ページ
 
この報道からどのような教訓を得ることができるでしょうか。
福祉部長はなぜ、何のために相手に渡してしまったのでしょうか。
このような問題を深く考える場合には、報道されていない現場のやりとりに想像力を膨らませます。
福祉部長は、介護相談員の気持ちを代弁する形で口頭で相手に説明することができなかったのでしょう。
そこで「ほら、このように相手が書いている。これをよく読んでみなさい」と渡してしまったのではないでしょうか。
つまり、内部告発者の気持ちを受けとめ、大切にすることができなかったということです。
被害者側の気持ちに寄り添うことができれば、口頭で説明することができますし、
文書を渡してしまうといった行動にはならないはずです。
問題が発生した時には「被害者は誰なのか」「被害者の気持ちを受け止めて、配慮しているか」「そこを軸に判断、行動しているか」
この視点を大切にすることがダメージの拡大を防ぐのです。

 
2014年7月28日<ベネッセ個人情報漏えい事件の対応に学ぶ>
ベネッセホールディングスで子どもの情報が2000万件以上流出しました。
今回の事件は子どもの情報である故に社会に与える影響は大きいが、果たしてベネッセの対応はどうだったのでしょうか。
ベネッセの事件対応を分析してみると、事件後の発表文書とタイミングは模範的であったといえます。
まず、タイミング。客様へのお詫び発送前に慌てて謝罪会見をしてしまうという間違いを犯しがちですが、
7月8日発送後の9日に公表しています。
また、説明文書も、最初の公表段階で1.概要、2.漏えいしたお客様情報、3.漏えい発覚の時期と経緯、
4.現状確認されている被害、5.原因究明の調査、6.セキュリティ対策と再発防止策、7.お客様への対応、
8.今後の情報開示、9.業績への影響、そして関係サービス一覧添付、と必要な情報を全て網羅しています。
特に原因究明については、不明とせず、推定の原因を記載できている点は評価に値するといえるでしょう。
7月9日公表文書 http://www.benesse-hd.co.jp/ja/about/release_20140709.pdf
7月9日以降の対応進捗 http://www.benesse.co.jp/bcinfo/report.html

2014年6月23日<パワハラは定期的に職場でチェック>
今月ピックアップ件数で目立った報道は「パワハラ」。
全体の労働相談数が減ったにも関わらず、パワハラが増えたという。
ハラスメントは、本人に自覚がないことがほとんど。
厚生労働省のパワハラ防止サイトでは、管理職や社員、職場環境のチェックリストが
掲載されています。ここを見ると、パワハラは存在しないと上司は考えている、
上司に意見が言えない、困っている人を助ける雰囲気がない
といった職場のコミュニケーションに関する項目が多いことがわかります。
どこにでも起こるという自覚を持つことが大事ではないでしょうか。
では、自己診断後、動画で確認してみましょう。(広報コンサルタント 石川慶子)
 
〇厚生労働省 パワハラ診断
http://www.no-pawahara.mhlw.go.jp/check
〇厚生労働省 パワハラ場面と改善場面動画
http://www.no-pawahara.mhlw.go.jp/movie