日本広報学会 行政コミュニケーション研究会でのレポート(2008年6月)
広報コンサルタント 石川慶子

はじめに

広報の歴史を紐解いてみると、民主主義になくてはならない機能であることが明確になってくる。人々の意思を反映する機能とさまざまな情報を伝える機能の要にあるからだ。そこには、誰にとってどの情報がどのように価値あるものなのかを瞬時に見極め、集約して情報を発信していくことの重要性の認識と共にマネジメント知識や手法が必要になってくる。企業は厳しい市場競争において広報の機能を昇華させてきた。行政において「経営」要素が盛り込まれる中、広報も経営的視点からその機能を見直す時期に来ているのではないだろうか。今回のまとめにあたっては、行政関係者の方が発した一言「どんな広報の研修をやったらいいのかわかないのです」の声に答えたいという気持ちが動機になっている。そこで、広報の仕事に取り組むにあたって提供されているカリキュラムをベースに、今回の自治体広報部門への調査結果やこれまでの個人的経験を踏まえ、行政の広報部門に必要な能力や知識についてまとめる。

1 調査からの考察

今回私がヒヤリングに参加した自治体は、川崎市、長野市、長野県、さいたま市の4つである。
 
メディアアリレーションズという観点では、川崎市が発信する情報を選別している活動は完成度が高い。川崎市では、従来のマスメディア対象の記者クラブ向け情報、地域メディア向け情報、ネット向け情報などメディアの属性によって発信する情報を分けている。川崎市での戦略的広報展開が可能になった背景には、外部の広告代理店出身者が広報の責任者になったことが大きいという。また、川崎市は国連の「グローバルコンパクト」に参加している日本で唯一の自治体である。シティプロモーションというマーケティング広報の視点で注目を浴びがちな川崎市ではあるが、企業経営者が世界レベルで人権、労働基準、環境、腐敗防止を取り組む「グローバルコンパクト」も意識している川崎市は、行政経営や行政理念部分の視点からみた広報を意識している点で今後注目する必要がある自治体である。
 
長野市においては、企業の社長を経験している市長の存在は大きい。経営感覚とメッセージ発信の重要性を理解している市長の下での変革は、コスト意識においては確実に浸透してきているようだ。しかしながら、情報発信については、まだ市長率先型であり、組織全体にまで意識は浸透していないようだ。今後、市長の感覚がどこまで職員一人一人にまで根付くかが課題となる。シティセールスについては、特にまだ検討しておらず、話題にも上がっていないという。おそらく2007年は風林火山で観光客は増えたこと、通常においても東京への交通の便がよいこと、住民の出入りもあまりなく、市民の意識も比較的急激な変化を好まない安定志向であることが背景にあるのであろう。ただ、広報広聴課としての危機管理マニュアルがないのは心もとない。危機管理広報の重要性についても民間企業並の意識と体制作りが必要であろう。
 
長野県については、記者クラブ制度を廃止した点に注目した。現在は誰でも記者クラブ室に入室し、資料配布や発表を申請することができる体制になっている。当初反対意見はあったものの問題なく機能しているという。また、「危機管理広報」という言葉に非常に高い関心を示していたことから、重要性の認識はしているといえる。今後の体制作りに期待したい。
 
自治体の危機管理については、2006年に日本自治体危機管理学会が立ち上がったばかりである。私が参加したセミナーでは、京都における鳥インフルエンザと新潟における地震発生時の事例を紹介していたが、定義、考え方、手法のいずれも民間企業で確立している危機管理広報の域には達していない。その点、佐賀県は危機管理広報という視点を持ち、トレーニングも実施している点で先進的である。自治体における「危機管理広報」体制の確立は重要な課題であろう。
 
さいたま市については、繰り返し「模索中」という言葉が返ってきたが、政令指定都市として日が浅いとはいえ、すでに4年が経過している。スピードアップして広報のあり方、方針を見つけるべきであろう。また、思考錯誤しながらも地元の特色を生かした「まんが」の広報誌への導入などユニークな試みもあるが、新たな試みをしてもフィードバックの仕組みや評価方法が確定していないと次への改善につながらない。具体的な目標設定と評価方法の策定が一番の課題ではなかろうか。
 
また、富山県、千葉県柏市、静岡県、警察庁において課長クラスに対する広報研修を提供してきたが、外部の専門家講師による広報研修は、課長研修の一環であったり、定期的な広報研修といった位置づけで1テーマごとに実施されるため、テクニック習得の要望が強く、体系的な習得にはなっていないと感じる。

2 日本における広報教育の現状

米国においては、2000年の時点で197,000人広報の専門家が存在すると言われており*1、職業としても確立し、企業だけでなく、政府、政党、自治体、宗教団体、大学、病院、NPO,NGOなどあらゆる組織に機能として入り込んでいる。一方、日本においては2001年時点でPRの専門家は3000人*2と推計されており、未成熟さが従来から指摘されてきた。日本における専門家の育成はどのようにされてきたのだろうか。
 
これまでにもPR会社や業界出版社が開催する実務家養成講座はあったが、経営視点からというよりは、実務やスキル重視であった。
 
日本広報学会は1995年設立で歴史が浅いため、広報関連の論文について日本はかなり遅れをとっているといわざるをえない。同学会において「コーポレート・コミュニケーション専門職育成、研修用カリキュラム開発研究会」ができ、米国大学院、中国広報学など海外も含めたカリキュラム研究内容を2005年から2007年にかけてまとめた。なお、同学会の関西部会では、CCO(Chief Communication Officer)、つまり経営層にコミュニケーションの専門家を置くべきという視点から経営層向けの広報講座を開催している。
 
最新の動きとしては、2007年に社団法人日本パブリック・リレーションズ協会が始めた「PRプランナー資格認定制度」の社会的インパクトが大きい。各方面で試験対策講座が開講される動きが出始め、対策講座には、企業の広報担当者だけでなく、政党、省庁、県庁、市庁、独立行政法人などの職員や病院、大学、NPO関係者など幅広い組織から受講生が出てきている。
 
このことは、日本における広報専門家が今後は米国のようにあらゆる組織で機能していくようになることを示唆している。

3 広報に必要な能力

不幸なことに日本語で「広報」と表示されるために、広報の意味を「広く伝えること」と認識してしまっている人が多いが、現代における「広報」は、戦後米国から入った概念で、英語の「パブリック・リレーションズ」を翻訳して「広報」となったのである。従って、本来の意味は「公衆とのより良い関係」を構築するための活動であり、主として組織と社会との関係についての考え方および行動のあり方のことである。
 
広報専門家の間で認識されている定義としては「理解、信頼、好感(尊敬)獲得を目的とした継続的な対話活動」である。また、「パブリック」とは、組織外の人達だけではなく、組織内の人々、社員や職員も含まれる。上場企業の多くは、広報といえば、マスコミ対応だけでなく、社員への広報も含めており、社員数が多くなればなるほど、実は社外よりも社内への広報が重視される傾向にある。さらに最近はリスクマネジメントが重視されるに従って、組織内コミュニケーションにおけるネガティブ情報の把握と管理がますます重要になってきている。
 
ここで広報に必要な能力について、私は3つの能力を提示したい。「インテリジェンス」「メディアリテラシー」「表現力」である。
 
3.1「インテリジェンス」
「インテリジェンス」とは、組織内外からの情報を集め、価値を分析することである。「情報収集」とは、行政であれば、組織外からの情報としては、今国民の関心がどこにあるのか、メディアの問題意識はどこか、社会貢献活動に熱心な企業はどこか、行政に寄せられた国民からのクレームや意見などである。
 
組織内の情報とは、すでに行政は行われている各課の施策、サービス、イベントだけでなく、組織内で発生した問題などネガティブ情報も含まれる。企業においては、広報部内にお客様相談センターを置いている事例や問題が何か発生した場合は、とにかく広報部に一報を入れる仕組みにしている事例もあり、リスクマネジメントの観点から情報を集約させる機能を広報部に持たせるようになってきている。
 
危機管理広報という観点からすると、何か問題が発生した場合には、メディアから広報部に問い合わせが入り、そこに情報が集まっていなければ対応をすることができない。また、収集した情報は、優先順位をつける必要がある。自治体として重視すべき情報は何か、あるいは、誰にとってどの情報がどのタイミングであれば最大価値を持たせることができるのかを具体的に分析する力が重要だ。
 
例えば、企業誘致を重点課題としているのであれば、想定している企業が欲しい情報は何か、どのような情報が彼らの心に響くのか、その情報は自治体の中のどこにあるのか、誰が持っているのか、どのタイミングでその情報を提供すると相手が価値を見出すのかといったことを考えていくプロセスである。特にタイミングは重要で、ここを間違うと情報の価値はゼロになってしまうこともある。
 
3.2 「メディアリテラシー」
「メディアリテラシー」とは、メディアの特性を理解し、それ使いこなす能力である。ここでは、集めて優先順位をつけた情報を、最終的に届けたい人たちにどのようなメディアを使ってどう展開していくのかを決める力である。どのメディアであれば、あるいはどの記者、どの編集部であれば取り上げてくれるのか。重要性は高いが、記事としての露出が難しければタイアップや広告を使うこともここで検討しなければならない。記事としての露出は1回しか可能性がなければ、継続的な露出として広告を考える。社会貢献活動に力を入れている企業があればそこと協力してプロモーションしていく方法もある。広告よりもオピニオンリーダーが効果的であれば、オピニオンリーダーを作り出していかなければならない。広報誌、一般メディア、ネットだけでなく、新しいメディアをNPO,企業など民間と一緒に作るということも考えられる。
 
3.3 「表現力」
「表現力」とは、写真の取り方やページレイアウトといったページ作成をメインとした編集技術のことではない。集めた情報はそのままでは、わかりにくいものである。相手がわかるような表現、あるいはメディアが取り上げたくなるような視点で情報を加工し、時にはそこにストーリーといったシナリオもつけ世界観を作り、相手が感動したり、意識を持ったり、実際に行動を起こしたくなるような「キーメッセージ」を開発する能力のことを指している。
 
例えば、ある企業のスポンサーシップで興行会社と自治体が共同でコンサートを実施することになったとしよう。何を訴求ポイントとすれば、コンサートは成功するだろうか。集客を目的とするならば、「演奏者のコンサートにかける熱い思い」を前面に出すことがポイントになるだろうし、すでにチケットが完売であり、むしろ他の企業からも別案件で今後もスポンサーシップを取り付けることを目的とするならば、「スポンサーシップとなった経営者の思い」をキーメッセージにする必要がある。これにより、他の企業経営者は刺激や意識喚起を受けることになるからである。
 
このように情報を出すにあたっては、目的を明確にし、メッセージを投げかける相手に届く訴求ポイントとキーワードを開発することが広報に求められる能力である。
 
図 1:広報に必要な3つの能力

4.広報に必要な知識

では、広報に必要な知識とはどのようなものであろうか。
 
4.1行政の広報部門に必要な知識
次のページに行政の広報部門に必要な知識を学ぶための内容をまとめた。カリキュラム例作成にあたっては次のことを考慮した。
 
4.1.1 歴史的視点と経営視点
現代におけるパブリック・リレーションズの意義を歴史的観点から学び、行政経営の中でどう位置づけるのか。広報は単なる手法ではない。歴史的に社会の中で話してきた役割は大きい。また、一歩間違えると世論操作になる危険性もはらむ。歴史的な視点で広報の果たして来た役割を学ぶことによって、行政経営という視点の中における広報の位置づけを明確にする必要がある。
 
4.1.2 戦略的視点
広報といえば、マスコミ対応だけに視点が集中しがちであるが、メディアリレーションズは最終的なアプトプットとしてのポジションになる。具体的なメディアリレーションズのアクションを起こす前に戦略を立てる必要がある。
 
4.1.3 企業の手法を学ぶ
「広聴」は企業活動に言い換えれば「マーケティング」「ユーザーサポート」「お客様相談室」になる。企業においてはすでに「クレームは宝の山である」といった考え方を持って取り組むところが多く、リスクマネジメントの観点からも重要な位置づけとなっている。また、自治体にとっても市民サービスを維持するための「資金集め」は今後必要不可欠になるであろう。あるいは財政事情について市民に理解を求めるにあたっても説明の仕方を工夫しなければならない。企業活動に言い換えれば、「IR(Investor Relations)」になり、参考になるのではないだろうか。
 
4.1.4 庁内広報の視点
企業においては組織が大きくなればなるほど社内広報を重視する傾向がある。「インナーコミュニケーション」や「エンプロイーリレーションズ」という視点から社内広報誌やイントラネットによる社内の情報共有化に力を入れているケースが多い。理由は、社員の意識一体化は、組織活性化と顧客サービス向上のための原点であるからだ。庁内広報は今後の大きな課題ではないだろうか。
 
4.1.5 国際広報の視点
国内における外国人の比率は高まってきている。地域住民にさまざまな言語を持つ外国人への対応、あるいは外国からの観光客集客といった視点からも地域における国際広報のあり方は今後必要になってくるのではないだろうか。
 
4.1.6 危機管理広報の視点
「危機管理広報(クライシスコミュニケーション)」は、緊急事態発生時における関係者への説明である。既に企業では一般的になっている「危機管理広報」の基本的考え方と手法は、自治体においてはほとんど浸透していない。2次被害を発生させないためにも重要なコミュニケーション活動である。また、現在では、平時においてもリスク情報を市民と共有するべきであるとする「リスクコミュニケーション」の重要性も高まっている。
 
企業においては事業の存続や発展を目的としたステークホルダー(組織を取り巻く人々)ごとのリレーション活動が行われてきた。代表的なもので、対メディア活動(メディア・リレーションズ)、対投資家活動(インベスター・リレーションズ)、対従業員活動(社内広報、あるいはエンプロイー・リレーションズ)、対地域住民活動(コミュニティ・リレーションズ)などである。1990年代から世界的に環境問題とリンクしながら注目されてきたCSR(企業の社会的責任)の考え方が浸透するにつれ、対象別リレーションズといった枠では捉えきれない関係者が出現してきていることから、ステークホルダーを洗い出し、ステークホルダー毎に理想的関係のあり方を考え、その理想的な関係を構築するための「ステークホルダーマネジメント」がより意識されるようになってきた。
 
このステークホルダーという考え方は、すべての組織で応用することができる。行政におけるステークホルダーは、地域住民だけでなく、企業、NPO、NGO、議員、マスコミ、職員、中央官庁であり、地域住民といってもひとくくりにはできず、年配者、若者、主婦、ビジネスマンなどさらに年齢や生活環境が異なる人々が見えてくる。行政においても今後は、「ステークホルダーマネジメント」の考え方は重要になり、究極のサービス業として現代におけるステークホルダーとの関係のあり方を再認識する必要があると思う。企業のコミュニケーション活動は、市場ニーズや社会環境の中で手法や考え方が変化発展してきた歴史や事例があり、広報という視点で学べることは多い。

表 1:行政広報部門に必要な知識項目例
① パブリック・リレーションズ概論
  ・ パブリック・リレーションズの歴史
  ・ パブリック・リレーションズの定義 
  ・ 組織活動におけるPRの重要性
 
② 行政経営とパブリックリレーションズ活動
  ・ 行政と社会(企業、NPO,市民)
  ・ 行政のパブリックリレーションズ活動
  ・ 行政におけるステークホルダーとのコミュニケーション
  ・ 行政のPR活動推進体制
  ・ 広報誌の役割、作り方
 
③ PR活動のマネジメント
  ・ PR戦略の考え方
  ・ PR計画の策定のための広聴活動や調査活動
  ・ PR活動計画の立案
  ・ PR活動推進におけるマネジメントの基礎知識
  ・ PR活動の効果評価とそのフィードバック
 
④ メディアリレーションズ
  ・ メディアの特性理解
  ・ メディアリレーションズの基本
  ・ メディアリレーションズプログラム
  ・ PR素材の発掘・開発
  ・ プレスリリースの書き方
 
⑤ 広聴マーケティングとPR
  ・ マーケティングの考え方
  ・ さまざまなマーケティング手法
  ・ 広聴と市場分析(基礎知識、調査方法、競争分析等)
  ・ 企業のマーケティングに学ぶ
 
⑥ 組織内コミュニケーション
  ・ 庁内広報の目的と内容
  ・ 組織再編時のコミュニケーション
  ・ 企業における社内広報に学ぶ
 
⑦ インターネットにおける広報
  ・ インターネットメディアの特性
  ・ 仕組みと基本用語理解
  ・ インターネット活用事例
  ・ 企業のインターネット活用に学ぶ
 
⑧ 国際広報
  ・ 国際広報の基礎知識
  ・ 国際広報推進のための知識
  ・ 異文化コミュニケーション
 
⑨ 行政における危機管理広報
  ・ 危機管理の定義
  ・ 緊急事態の種類
  ・ 危機管理広報の基本
  ・ 情報開示と説明責任
  ・ メディアトレーニングの進め方
 
⑩ 企業のコミュニケーション活動に学ぶ
  ・ 企業における広報部門の位置づけ
  ・ 企業の広報部門で行われている活動
  ・ 企業(理念)広報と商品(プロジェクト)広報
  ・ 企業におけるCSR
  ・ 企業におけるIR(対投資家活動)
  ・ 企業の広報活動事例

4.2他の広報に関するカリキュラム特徴
社団法人日本パブリック・リレーションズ協会は、PR会社と一部企業が会員となっている団体であるため、新人教育におけるカリキュラムは、メディアリレーションズとリスクコミュニケーション、プレスリリースの書き方に多くの時間を使っている。リスクコミュニケーションとは、緊急事態発生時の広報対応だけでなく、平時におけるリスク情報の開示も含まれる。また、事例だけを集めた時間もあり、実務能力重視の内容となっている。(巻末資料1)
 
プランタン銀座内にあるエコールプランタンが実施しているPRプランナー資格試験対策講座は、PRプランナー資格試験項目をほぼそのままカバーする内容となっており、参加者は実務経験5年以内を対象とし、基本的な知識をカバーする内容となっている。経営と広報のあり方、戦略の立て方、PR実務、マーケティングと比較的全般が網羅されており、バランスのよい時間配分となっている。(巻末資料2)
 
海外ではどのようになっているのであろうか。米国大学院におけるカリキュラムは、ニューヨーク大学もボストン大学も必修科目として「書く力」「メディアリレーションズ」が共通項目としてあることから、この部分は基礎的能力として重視されていることがわかる。選択科目として、どちらも「企業広報」はあり、それ以外として広報コンサルティングする立場の人を意識した内容となっている「広報のマネジメント」あるいは「行政・非営利団体の広報」が選択科目としてあがってきている。米国においては、企業内の広報担当者、広報のスペシャリスト、行政・非営利団体の広報担当者、と主に3つの専門分野が確立されていることが伺える。(巻末資料3)
 

*1,*2
株式会社井之上パブリックリレーションズ著『パブリックリレーションズ』、2001年,pp40-41
 
引用・参考文献
本田弘『行政広報~その確立と展開~』、サンワコーポレーション、1995
三浦恵次『地方自治体の広報活動』、総合労働研究所、1986
土橋幸男『自治体のイメージアップ戦略』ぎょうせい、1999
鈴木宗弘ほか編著『シチズン リテラシー』、教育出版、2006
バリー・R・ルービン『アメリカに学ぶ 市民が政治を動かす方法』、日本評論社、2002
日本広報学会「コーポレート・コミュニケーション(C.C.)専門職育成、研修用カリキュラム開発」研究会報告書、2007年6月
 
石川慶子
有限会社シン取締役社長/広報コンサルタント
国会職員勤務後、映像プロダクションにて企画・取材・宣伝等のプロデュース業務を経験。1995年からPR会社に勤務。2004年独立し、企業、学校、行政等に広報に関するコンサルティングや研修サービスを提供。日本広報学会理事。
『マスコミ対応緊急マニュアル 広報活動のプロフェッショナル』(ダイヤモンド社 2004)など。

(巻末資料1)
(社)日本パブリック・リレーションズ協会 平成20年度新人教育カリキュラム

項  目

時間数・内容・副題

パブリックリレーションズの基礎

2時間25分

①PRの歴史的背景と重要性 

②PRの実務と計画立

メディアリレーションズ

9時間40分

①メディア概論(マスメディアとターゲットメディア)  

②新聞論(新聞社の仕組みと記者からのアドバイス) 

③テレビ論(テレビメディアの特性とアプローチ方法)

④インターネットメディア論(進化するネットメディアとPR手法) 

⑤ラジオ論(ラジオの基礎知識とパブリシティ) 

⑥雑誌論(雑誌の特性と効果的アプローチ方法

プレゼン技術

1時間20分

効果的なプレゼン技法

PR会社の役割

1時間20分

広報になくてはならないPR会社の役割

PR会社の基本と倫理

1時間40分

PR会社に求められる基本的活動と個人の倫理、自己啓発

企業広報からのアドバイス

1時間50分

PRパーソンに求められる資質

新聞社見学ツアー(移動除く)

2時間25分

朝日新聞社

講演

1時間

カメラマンと上手につきあう方法

リスクコミュニケーション

4時間

危機管理広報の基礎と演習

ニュースリリースの書き方

4時間

報道資料作りの秘訣、リリースの書き方実践(基礎から応用まで)&添削

クリッピング会社見学ツアー(移動除く)

1時間

内外切抜通信社

事例紹介

2時間

4つの事例を30分ずつ

マーケティングPR

1時間20分

ヒット商品を生み出すPR戦略

インベスターリレーションズ

1時間20分

投資家との対話で作る魅力ある企業

エンプロイーリレーションズ

1時間20分

広報PRの基本は足元から

PR資格試験関連他

2時間30分

資格試験内容、パネルディスカッション等

合計時間数

39時間10分

上記、日本PR協会ホームページ資料から作成


(巻末資料2)エコールプランタン主催:PRプランナー資格試験対策講座 カリキュラム
1次試験対策講座(平成20年度)  講義数10コマ×1.5時間=合計15時間
 
講義名・学ぶ内容

  • パブリックリレーションズ概論
    • パブリックリレーションズの歴史・パブリックリレーションズの定義・パブリックリレーションズの基本構造・企業のコミュニケーション活動諸概念の理解
  • 企業経営とパブリックリレーションズ活動、行政・団体等のパブリックリレーションズ
    • 企業と社会・企業とステークホルダーとのコミュニケーション・企業のパブリクリレーションズ活動・企業のPR活動推進体制
  • PR活動のマネジメント
    • PR戦略の考え方・PR計画の策定のための公聴活動や調査活動・PR活動計画の立案・PR活動推進におけるマネジメントの基礎知識・PR活動の効果評価とそのフィードバック・PR活動に関する法規制
  • コミュニケーションとPR、メディアリレーションズ
    • PR活動に関連するコミュニケーション理論・PR活動でのコミュニケーション手段・メディアの特性理解・メディアリレーションズの基本・メディアリレーションズプログラム・PR素材の発掘&開発
  • マーケティングとPR
    • マーケティングPRの理解・マーケティングの基本・マーケティングコミュニケーションズの基本
  • インベスターリレーションズ
    • IR活動とは・IR活動の対象・ディスクロージャー
  • エンプロイーリレーションズ
    • 社内広報の目的と内容・社内広報&コミュニケーションのメディアの留意点
  • ネットPR
    • ネットPRの基本理解・ブログの理解・インターネット関連業務の理解
  • 企業の危機管理
    • 緊急事態の種類・危機管理の基本・危機管理と社内広報
  • パブリックリレーションズと倫理、国際広報
    • パブリックリレーションズの倫理原則・パブリックリレーションズ活動における倫理実践・国際広報の基礎知識・国際広報推進のための知識

2次試験対策講座 カリキュラム(平成19年度)  講義数8コマ×1.5時間=合計12時間
内  容

  1. CSR、IR、危機管理等、経営と広報・PRに関する知識 ~その1
  2. CSR、IR、危機管理等、経営と広報・PRに関する知識 ~その2
  3. マーケティングに関する知識 ~概念・市場分析&調査・市場対応の基礎
  4. ブランドマネジメントに関する知識 ~ブランド戦略とマネジメント
  5. PR実務知識 ~その1(記者発表・取材対応など)
  6. PR実務知識 ~その2(ツールやイベントについて)
  7. 広報効果の測定、PR関連調査実務
  8. PR戦略立案の基礎・実務知識

エコールプランタン提供資料から作成


(巻末資料3)米国の大学院における広報教育プログラム

ニューヨーク大学大学院
<必修科目>
①文書作成セミナーⅠ
②文書作成セミナーⅡ
③広報の理論、歴史および実践
④リサーチのプロセスと手法
⑤コミュニケーション倫理、法律と規制
⑥メディアリレーションズ
⑦戦略的コミュニケーション
⑧広報機能と企業コミュニケーション機能
 
<選択科目>
Ⅰ.広報のマネジメント
①国際関係論、異文化コミュニケーション
②広報コンサルティング
③非営利団体における広報
④専門領域(娯楽、スポーツ、医療等)の広報
⑤統合マーケティング
 
Ⅱ.企業広報
①パブリック・アフェアーズ:世論とイシュー・マネジメント
②従業員や他の関係構成者との関係構築
③コミュニティ・リレーションズと提唱のためのコミュニケーション
④行政や政府を対象とする広報
⑤投資家向け広報

ボストン大学大学院
<必修科目>
①現代広報論
②書く技術
③コミュニケーション理論
④コミュニケーション調査研究
⑤メディアリレーションズ
 
<専攻科目>
Ⅰ.企業広報
①企業におけるパブリック・アフェアーズ
②投資家向け広報
③コミュニティ・リレーションズ
④交渉と紛争解決のためのコミュニケーション戦略
⑤プロモーション企画の立て方
⑥組織内コミュニケーション
⑦国際広報
⑧マーケティング・コミュニケーション
⑨国際マーケティング・コミュニケーション
⑩メディア専門職のための書く技術
⑪危機管理広報
 
Ⅱ.行政・非営利団体の広報
①非営利環境での広報
②政府の広報
③コミュニティ・リレーションズ
④交渉と紛争解決のためのコミュニケーション戦略
⑤政治キャンペーン運営と分析
⑥プロモーション企画の立て方
⑦組織内コミュニケーション
⑧国際広報
⑨国際マーケティング・コミュニケーション
⑩組織発展のための資金集めキャンペーン
⑪メディア専門職のための書く技術
⑫保健衛生・疾病に関するコミュニケーション

日本広報学会「コーポレート・コミュニケーション(C.C.)専門職育成、研修用カリキュラム開発」研究会報告書(2007年6月発行)における「米国の2つの大学院における広報教育カリキュラムとその考察」より作成